【対談】安倍政権を揺さぶる市民と野党の共闘

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醍醐 聰さん(東京大学名誉教授、森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会呼びかけ人)

宮本岳志さん(衆議院議員、国会で「森友学園問題」を最初に追及)

 

すでに「詰み」、投了しない醜態

 

宮本 この前先生とお会いしたのは院内集会でした。

醍醐 そうですね。

宮本 あのとき、横断幕にはもう「詰み」だとありました。森友問題すでに詰んでいると。

醍醐 あれは木村真さん(大阪・豊中市議)たちが書いたものです。

宮本 豊中のね。私も講演などで使わせてもらっています。将棋の世界は、藤井聡太さん、今度七段になられるんですか、彼が出てきて大変なブームになっていますけれど、負けがわかった段階で「まいりました」と潔く認めます。しかし安倍内閣というのは、目の前で王様が取られても、まだ負けていないといって王を取り返そうとする(笑い)、往生際の悪い、ひどいものだと思いながら見ています。

ここまで追い詰めたのは、やはり先生方や市民の皆さん、弁護士さんや様々な専門家の方々がずっとこの問題を取り上げて、国会の外で運動を続けてくださったことが非常に大きかった、大きな力になったと、私は実感しています。

醍醐 マスコミ報道では、疑惑は晴れないまま幕引きになるという論調がけっこうあります。私はそれに疑問で、疑惑は晴れないじゃなくて、もう晴れています。ただ当事者、一番の問題の人がそれを認めないというだけのことであって、客観的にはもう疑惑どころか黒ということははっきりしています。マスコミの報道は、政府として逃げ切れたというお墨付きを半分ぐらい与えてしまいかねないような書き方なので、私はおかしいと思っているんです。もう少し踏み込んで言っていいのではないかと思っています。

国会ではこの間、野党が結束して追及されていますね。私たちの集会にスピーチを依頼しても、皆さん喜んで来てくださいます。これからもいろいろややこしい動きがあるかもわかりませんが、政権のあり方などは別としても、国会での重要課題について野党が結束してやってほしいと思いますね。

宮本 案ずるより産むが易しといいますか、共通の相手に闘いを挑む、これは一番結束を固める、理屈抜きに結束を固めますね。最高の力だと思っています。

一緒に追及している国民民主党の今井雅人さんとは同じフロアなんですよ。立憲民主党の逢坂誠二さんとか川内博史さんをふくめて、よく相談し合っています。長く拘留されている森友学園の籠池泰典前理事長への被告人接見も川内さんと今井さんとぼくとでやりました。公開ヒアリングも並んでやっているものですから、お互いに情報を共有し合いながら追及しています。いっしょに政権をつくれるかどうかというような話はともかくとして、目の前の敵に対処するのに協力しない手はないというのは、実践論としてはっきりしているものですから、ここの結束は固いんです。

闘いを共にするというのはすごく大きいし、そういう点では総選挙もああいう変な逆流が最初に生まれましたけれど、それをのりこえ、国民の審判も下って、野党の結束は固くなったように思います。

醍醐 必要に迫られて、というのが将来にまで生きていく感じがしますね。それがボトムアップし、信頼を醸成して、やがて政権などの話につながっていくというのが一番望ましい姿でしょうね。

宮本 この前の柳瀬唯夫元総理秘書官の参考人質疑もそうでしたし、その前の佐川宣寿元財務省理財局長の証人喚問もそうでしたけど、野党で協力して文字起こしをやっています。もちろん国会も速記を取っていますが、あれが出てくるのは翌日になりますから、野党の事務局が態勢をとり、文字起こしをやって全部配布しました。普通の質問だったら前日までに質問要項を作って通告するんですけど、証人喚問や参考人質疑は、いうなら出たとこ勝負です。最初の立憲民主党が基本的なことを聞くと、後はそのやりとりを手元に置いて、つっこみどころを探してどんどん臨機応変に聞いていく。共産党はだいぶあとですから、最初からずっと見ていて、あ、今言ったことはちょっと矛盾しているなとか、ここが衝きどころだなと思うところを自分の持ち時間で質問するわけです。

その点で野党共同で文字に起こして、みんなで共有する態勢をとったのはすごくありがたかったし、闘いの最先端で党の垣根を越えてそこまでやれているというのがすごいことだと思いますね。それもこれも、やはり市民、国民の、野党は結束して頑張れという熱い期待を感じるからです。それに応えて、ここまで来たんだと思いますよ。

 

2度吹いた〝神風〟


醍醐 何がわかったのかという問題ですね。森友問題では、決裁文書の改ざんという問題がありました。改ざんしたところはみな安倍夫妻に関わる問題であったということ。加計問題ではこれが首相案件であるということを柳瀬さんが言ったという話ですね。

宮本 首相という言葉は使わない、というだけ。

醍醐 加計学園の獣医学部新設が国家戦略特区になったのは、要するに安倍総理からの指示が出たからだということが明らかになった。

宮本 柳瀬さんがそれを認めたというのは言い過ぎでしょうが、3回も首相官邸で会ったわけですから、特別な関係を2年も前から取り結んできた。それを総理に報告もしなかったというのは、誰が聞いたってそんな馬鹿なことはないだろうといいますよ。そして文書の中身も、中村時広愛媛県知事は「間違いなくうちの職員が書いたことだ、うちの職員を愚弄するようなウソに付き合わせるな」と言って怒っていますけれども、誰が見ても中村知事の言い分のほうが正しいでしょう。もしそうでないなら国会に呼べばいいのに自民党は拒否している。普通に考えたら、与党と安倍政権の側がおかしい、ウソをついているとなるでしょう。

森友のほうは、醍醐先生と1年以上にわたってずいぶんいろいろな場所でご一緒してきましたけれども、文書改ざんをふくめていろんなことが明らかになってきました。今の到達点で言いますと、籠池氏が語った神風というのは、実は二度吹いたんです。ぼくが去年の秋に明らかにした音声データでは、2016年3月にゴミが出てきたと言って籠池氏が財務省へ乗り込み、田村嘉啓審理室長(当時)に直談判して帰ってきたら、近畿財務局と大阪航空局が「すみません」と頭を下げて、そこから交渉が始まっている。口裏を合わせ、限りなくゼロにします、もっとぐーんと下げなあかんよ、というようなやりとりをやっている。

あれは、安倍総理夫人の昭恵さんお付きの谷査恵子さんを通じたやりとりから始まっている。2015年9月5日に安倍昭恵さんが名誉校長に就任して、11月ごろ谷査恵子さんのファックスがいってます。それででたらめな値引きをして売ってしまう。これが二度目の神風のからくりです。安倍首相はその後も、あれは利用されたんだ、詐欺師みたいな籠池さんに利用されただけだと、売却時に利用されたんだと言ってきました。しかしそれは実は二度目であって、神の最初の一撃というのはもっと前にあったわけです。

それは、あの土地の特例承認というところにあります。普通だったら売却するところを、まず10年定期借地で貸し付けて、そして10年のうちに買い取る、そういう契約になっているんです。これは特例なので、近畿財務局の一存ではできません、理財局長の決裁がいります。

まず改ざんされたのはこの決裁文書なんです。しかしこれは貸し付ける前の段階でありまして、2015年の4月30日に特例承認が決裁されています。貸し付けるのは5月29日ですが、その前に特例承認しておかないと契約を結べませんので、その前段の話になるんですね。その前段のこの決裁文書の中に「経緯」というのがついています。経緯ですから振り返っているので、そのまた1年前の話になります。つまり2014年です。

4月25日に、安倍昭恵さんが籠池さんの幼稚園を訪ねて、子どもらが鼓笛隊か何かやったのを見て感激して、その後、豊中の例の国有地へいっしょに行って並んで写真を撮る。そのときに安倍昭恵さんが「いい土地ですので進めてください」と語ったということがその文書に出てくるんです。特例承認をお願いしますという文書に、この土地をなんで特例扱いしなければいけないかというとそういういきさつがあるからですよ、ということが書かれていた。書かれていたから、それを改ざんした、削ったということです。

ですから、最後の売り払いのときに利用されたという話ではなくて、一番最初にこの土地を森友に貸し付けたり売ったりするかどうかという判断のところで、紛れもなく安倍昭恵さんの名前が出てきているわけです。売るところの話だけだったら、最後の最後、おだてられて乗せられて校長にされて利用されたんだとかいうのだけれど、そんな甘い話ではない。最初の神の一撃を与えたのも安倍昭恵さんだった、「進めてください」という言葉だったということが文書の中に出てくるわけです。

醍醐 定期借地でレールが敷かれたというところが出発点だということはもっと強調されないといけない点ですよね。

私たち市民の側から言うと、宮本さんが去年の2月に国会で質問したとき、佐川さんが「すべて廃棄しました」とけろっと言われて驚いておられましたけれど、私にとっても、森友学園に関心を向けるきっかけになったのはあの場面なんです。契約をもって事案が終わったという契約の中身が……。

宮本 廃棄。

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